年金離婚分割請求において、婚姻前に3号期間がある場合

年金の離婚分割請求の対象期間は「婚姻期間」が原則となります。

しかし、もし婚姻期間前に国民年金第3号被保険者期間があった場合はどうなるのでしょうか。

 

この場合、この3号期間も含めて対象期間となります。(厚生年金保険法施行規則第78条の2第2項1

この期間は「事実婚」期間として扱われることになります。

 

3号期間は何の書類もなく分割対象期間となるわけではありません。

この期間を確認する書類が必要となり、これがよく問題となります。

具体的には、住所が同じであったことを確認できる住民票(または戸籍附票)が必要となるのです。

もし住所が同じでなければ、生計同一に関する申立書の記載と、第三者による証明が必要となります。

この「証明」が難しくて、手間なのです。

 

だれかサインしてくれる人を探さなくてはなりません。ケースによっては相当前の期間のことを証明してもらうことになるため、困難を伴うことが多々あります。

第三者による証明は、健康保険の被扶養者になっている場合等は不要となります。3号期間であることは健康保険の被扶養者になっていることと同様であるとの考え方から、原則として証明は不要との考え方もできますが、現状では個々のケースによるようです。

このように、婚姻期間前に3号期間があった場合は煩わしい手続きが必要になります。

これを避けるために、分割の対象期間を「婚姻期間」だけとすることは残念ながらできません。(厚生年金保険法施行規則第78条の2第2項)

同月内のたった1日の相違であっても、このような手続きが必要であることは無意味です。

施行規則が改正されるといいのですが。。。




  1. 厚生年金保険法施行規則第78条の2第2項
     婚姻が成立した日前から婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあつた当事者について、当該当事者が婚姻の届出をしたことにより当該事情が解消し、前項第一号又は第二号に掲げる場合に該当した場合における対象期間は、同項本文の規定にかかわらず、同項第一号又は第二号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める期間と事実婚第三号被保険者期間を通算した期間とする。 ↩︎

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