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topics - 老齢年金

本来水準の年金額が特例水準の年金額を上回った平成21年度

年金額については、特例水準による計算により算出されていますが、過去に1度だけ本来水準による計算により年金が決定された年度があります。それは平成21年度で、次のような限られた条件に合致する方のみ該当するものでした。該当した人数は全国で約3万人で、これらに該当した方についても、平成22年度には特例水準により金額が上回ることとなったため、再度年金額改定が行われました。
 平成21年度は物価の上昇により再評価率が高くなり、本来水準の年金額が支給されたケースがあったわけですが、次の条件を満たした人だけが本来水準をわずかに上回ったのです。

@平成14年4月から平成18年3月までの厚生年金の割合が高いこと。
 これは、平成21年度における本来水準の再評価率と平成6年旧再評価率を比べると、平成14年4月から平成18年3月の期間が他の期間と比べ割合が高く、この割合の高い期間があることにより逆転したのです。
      旧再評価率    新評価率(H21)    割合(新/旧)
平成14年度  0.917      1.0720       1.0720
平成15年度  0.917      1.0752       1.0752
平成16年度  0.917      1.0763       1.0763
平成17年度  0.923      1.0704       1.0704

 他に割合が1.07を超える年度はなく、この年度の厚生年金期間があることにより逆転することとなりました。

A平成14年1月より前に1ヶ月以上厚生年金期間があること
 特例水準の物価スライド率は、次の場合には特別な率を使います。
   平成14年1月以後の期間しかない場合 0.990
   平成15年1月以後の期間しかない場合 0.993
   平成17年1月以後の期間しかない場合 0.996
   平成22年1月以後の期間しかない場合 1.000

 平成21年度における通常の0.985よりも高い率を使用するため、本来水準よりも特例水準が上回るのです。 そのため、平成14年1月より前に1ヶ月以上厚生年金期間があることが必要となります。

【例】
生年月日   昭和21年4月15日
厚生年金期間 平成13年4月1日〜平成13年5月1日( 1ヶ月)
       平成14年4月1日〜平成15年4月1日(12ヶ月)
標準報酬月額 200,000円

平均標準報酬月額
旧再評価率で計算 平成13年度 200,000×1ヶ月 =200,000 × 0.917 a
         平成14年度 200,000×12ヶ月=2,400,000 × 0.917 b
         (a+b)/13ヶ月 = 183,400 

新再評価率で計算 平成13年度 200,000×1ヶ月 =200,000 × 0.977 c
         平成14年度 200,000×12ヶ月=2,400,000 × 0.983 d
         (c+d)/13ヶ月 = 196,508 

特例水準の計算式 183,400円×7.5/1000×13月×1.031×0.985=18,159 e

本来水準の計算式 196,508円×7.125/1000×13月=18,202 f

以上により 本来水準>特例水準 となります。

B定額部分、老齢基礎年金が発生していないこと。
 定額部分についての計算は、特例水準の定額単価が高いため、定額部分が発生しているとトータルで特例水準が上回ります。
特例水準:1,676円 (計算の過程において0.988を乗じる) ※平成21年度
本来水準:1,638円
 基礎年金が発生する場合、差額加算が加算されるため同様に上回ります。 

Aの例の定額部分の計算式

特例水準の計算式 1,676円×13月×0.985=21,461円 g

本来水準の計算式 1,638円×13月=21,294円 h


特例水準の合計額 e+g =39,620円
本来水準の合計額 f+h =39,496円

以上により 本来水準<特例水準 となり、定額部分を含めると逆転します。

 以上のような限られた条件を満たした場合の年金額だけが、本来水準の計算による年金が支給されたのです。なおマクロ経済スライドは発動されませんでした。発動にはまた違った条件があるからです。