企業年金制度の概要について

企業年金の形態は、おおまかに分類して「確定給付型」と「確定拠出型」に分類されます。

1.確定給付型
将来の給付水準を前もって定め、それに見合う掛金額を設定

2.確定拠出型
掛金の拠出水準を前もって定め、加入者の自己責任で資産運用した結果に応じて、将来の給付額が決定。

厚生年金基金


 厚生年金保険法に基づき運営。国の老齢厚生年金の給付のうち、スライド分を除いた報酬比例部分の給付を国に代わって行います。基金が独自に設計した上乗せ年金を、代行部分とともに支給します。基金代行部分の費用は、免除保険料率で賄われます。

 厚生年金基金は解散が相次いでおり、現存の基金は少ししかありません。

  1. 総合設立-同種同業の企業が多数集まり、共同で業界の基金を設立する形態です。新規設立には5000人以上の加入が必要となります。
  2. 単独設立-1企業が単独で基金を設立する形態です。新規設立には1,000人以上の加入が必要です。
  3. 連合設立-親会社と子会社といった連携関係にある企業同士が、主力企業を中心に共同で設立する形態です。


確定拠出年金


 確定拠出年金法(H13.10.1施行)に基づき運営。年金資産は、加入者本人が運営管理機関に対し、自己責任で運用を指示します。日本版401Kと呼ばれることもあります。企業にとっては、決められた掛金を拠出していれば、退職金や企業年金の債務が精算されるため、確定給付企業年金のように予定利回りを達成できなかった場合に、その不足を穴埋めするための追加拠出を求められることがないため、企業の財務の健全性が保たれるというメリットがあります。
 積立金の管理は、外部の「資産管理機関」が行い、将来の年金支払いも同じ機関が行うこととなります。一定の年齢に達するまでは、通常引き出すことができません。


①企業型-企業が社員のために拠出していく「企業型」では、掛金が損金となり、この掛金を資金として運用する社員には運用の時点では課税対象となりません。

②個人型-個人が任意に加入する「個人型」の掛金は所得控除の対象となり、所得税の軽減ができます。個人型の場合は、資産の管理を国民年金基金連合会で行います。なお、公務員や国民年金の第3号被保険者は、加入することができません。

  

確定給付企業年金


 確定給付企業年金(H14.4.1施行)に基づき運営。掛金は事業主負担が原則で、規約に定めれば加入者本人も拠出できます。年金資産は金融機関、証券会社で運用されます。「基金型」と「規約型」があり、税制上の取り扱いとして、掛金の事業主負担分は損金算入、加入者負担分は生命保険料控除となります。
「基金型」-企業年金基金は運営主体となり、年金資産を管理・運用します。基金が金融機関等を通じて年金資産を管理・運用します。
「規約型」-企業が運営主体となり、母体企業の外で年金資産を管理・運用し、将来は加入者に年金給付をします。


企業年金間のポータビリティの確保

 平成17年10月以降は、あらかじめ規約で資産移換ができる旨を定めている場合、厚生年金基金・確定給付企業年金・確定拠出年金間で資産の移換を直接できるようになりました。これにより加入者が他の企業に変わった場合でも、企業年金が通算されることが可能となりました。転職先の年金制度が引き受けない場合、企業年金連合会に脱退一時金相当額の移換を行い、通算企業年金として将来受けることができます。また再度転職した場合など、企業年金連合会から他の企業年金への年金給付等積立金の移換も可能です(受入先の年金制度の規約に定めがある場合)

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