基金の解散や代行返上について
厚生年金基金については、解散や代行返上、中途脱退などによる取り扱いが複雑なので、まとめてみます。
解散基金
基金が解散した場合です。
プラスアルファ部分(※1)は精算されます。
残余の財産(いわゆる「加算部分」にあたるものです)は基金が加入者・受給者・受給待期者に公平に分配されます。
残余財産分を連合会に移換して「通算企業年金」にすることもできますが、現状は少額であるため年金にする人はあまりいないようです。
年金は企業年金連合会から支払われます。(代行部分に相当する額の支給を企業年金連合会に移換します。)
解散基金は国と同じ取り扱いとなるため、老齢厚生年金の受給資格が必要、在職老齢も適用され、遺族や障害と選択となり、雇用保険との調整も行われます。
代行返上
厚生年金基金が国に代わって厚生年金の給付や運用を代行する部分(代行部分)を、厚生労働省の認可に基づいて国に返上することをいいます。
加算部分とプラスアルファ部分が各基金から支払われます。
例:セブン&アイ・ホールディングス企業年金基金 東洋紡績企業年金基金 全労済厚生年金基金
なお、一時金で精算となる場合もあります。
中途脱退
途中で会社をやめた場合です。
加入期間が10年以上(15年の場合もあります)ある場合・55歳以降に退職した場合は各基金に請求します。
10年未満であれば、企業年金連合会に請求します。
複数の会社を短期間で入退社した場合も企業年金連合会に請求します。
中途脱退は老齢厚生年金の受給資格が不要、在職老齢適用なし、遺族や障害と併給となり、雇用保険との調整も行われません。
非常に有利な条件となっています。(※2)
基金独自の上乗せ部分である加算部分は、厚生年金基金を脱退するとき(会社を辞めるとき)に一時金(「脱退一時金」といいます)で受け取るか、企業年金連合会に引き継いで将来年金として受け取るかを選択することになります。
加算部分について、一時金として受け取らなかった場合には、資産の全てが企業年金連合会へ引き継がれます。
そして年金を受給する際には、企業年金連合会から代行部分を含んだ基本部分にあたる年金(「基本年金」といいます。プラスアルファ部分を含みます)とともに、加算部分にあたる年金(「通算企業年金」といいます)も受け取ることになります。
※1 代行部分に上乗せされる部分です。基金独自の「加算部分」とは別です。薄皮年金(部分)ともいいます。
※2 存続基金から支払われる基金年金についても、多くの基金で同様の条件となっています。ただし、企業年金連合会からの支払であっても、解散基金の場合はこのような有利な条件 とはならず、国からの年金と同様の調整となるので注意が必要です。